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広瀬川研究レポート

広瀬川に関する専門的知見を大学等の研究者・有識者に、分かりやすく解説してもらいます。
なお、レポートに対する質問は掲示板で受け付け、掲示板で回答していきます。
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私たちの広瀬川−がけとみどりとせせらぎと−

掲載日:2009年06月03日

街と広瀬川

 広瀬川は市街地の南西を屈曲しながら流れ下る清流です。いくつかの橋をくぐり「」となり,「ふち」となって流れ下っています。牛越橋から愛宕大橋までは約7kmありますが,平均すると1kmあたり高度が3mずつ下がる比較的 勾配こうばい の急な河川です。
 さて,ここで地形の話を紹介しましょう。皆さんは中学校や高等学校で地理の勉強をされたと思います。奥羽山脈のような急峻きゅうしゅんな山の部分を「山地」,作並温泉あたりから白沢あたりのややなだらかになってくる地帯を「丘陵きゅうりょう」,愛子から落合,あるいは仙台市街地のように川岸に何段かの平らな地面からなる河岸段丘地形が展開する部分を「台地」,そして河口近くに広がる平野を「沖積低地ちゅうせきていち」と呼んでいます。それらを図で表すと下の様になります。

図:河川流域に広がる地形と河床高度
図:河川流域に広がる地形と河床高度


 「山地」を流れる川は深い谷を刻んで,山の峰と谷底こくていには大きな高度差があります。「丘陵」ではその差が少し小さくなります。「台地」の部分では川岸に広がる河岸段丘面と川底かわぞことの高度差は数mになります。それより下流では,川は地面を削り込むことなく「沖積低地」の上を流れるようになります。仙台市街地付近はこれらの地形区の中では「台地(段丘)」にあたります。川は市街地が広がる段丘面から数mから十数m削り込んで流れています。





がけ と みどり

 下の図は,仙台市街地を流れる広瀬川を中心に,流れに直交する方向での河岸段丘の様子を模式的に示したものです。一番高い段丘面である青葉山面群には東北大学工学部のキャンパス,動物公園,仙台城跡せんだいじょうあとなどがあります。標高は150m程です。次に標高45〜40mあたりには仙台上町かみまち面とよばれる段丘面があります。そこには川内郵便局や東北大学の川内キャンパスなどがあります。それを数m下ると県立美術館や西公園,櫻岡さくらがおか大神宮がある仙台中町なかまち面が広がります。さらに10m程下がった仙台下町しもまち面群には角五郎,大工町,大手町,米ヶ袋などの住宅地が広がっていますし,大橋の近くでは国際センターや旧市民プールがあります。

図:河岸段丘面と「みどりの屏風」
図:河岸段丘面と「みどりの屏風」

 それぞれの段丘面の間には段丘崖だんきゅうがいと呼ばれる崖や急斜面が見られます。段丘崖は多くの場合,樹木が生い茂っていて,まるで「みどりの屏風びょうぶ」のような景色として捉えられます。





みどり と せせらぎ

 下の図は段丘面の分布と段丘崖(小さな崖,大きな崖)の位置を具体的に示したものです。広瀬川の河原を縁取ふちどって段丘崖が上流から下流へと連続します。角五郎地区のように低い崖,西公園近くのように15m程の崖,東北放送のテレビ塔の下などのように,100m以上もある大きな高度差をもつ崖もあります。これらのほかに広瀬川が,じかに接していない崖もあります。例えば大橋の東のたもとから,追廻地区を越えて望まれる仙台城跡の崖にも大きな高度差のある「みどりの屏風」がみえています。このように,広瀬川はみどりの屏風群に囲まれて流れているため,河原におりると都会の喧噪けんそうがかき消され,昔から引き継がれた自然の中に身を置いたような気持ちになれるのです。
 広瀬川は大都市を流れる川にも関わらず,その河原におり立つと小鳥や流れる水音だけが聞こえる異次元の世界に浸ることができる不思議な川なのです。台地を削って流れる広瀬川にとって,岸辺や川の近く,あるいは遠くにみえる木々を配した崖は,広瀬川と一体をなす自然地形群です。これらの崖は広瀬川とともに保存し後世に伝えたい自然です。

図:河岸段丘面と段丘崖
図:河岸段丘面と段丘崖


 

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